米国株初心者takです。
連休ということでちょっと里帰りをしています。実家でポチポチとブログを書く愚息です。
父もだいぶ高齢になってきたということで、相続をどうするかとか(大した資産はありませんが)現在の預金状況とかを少し教えてもらいました。
どうやら退職金で実は投資信託を購入しており、少し利益が出たとのこと。真面目一徹で「楽して儲ける必要はない」みたいなことを言っていた父ですが、少し気が変わったのでしょうか。その血を受け継いだ私も「お金ってなんだかこわい」と思っていましたが、昨年からようやく投資を始めてみましたよ。父は何を選んだのでしょうか。
コアラップ?何それ?
聞いてみると「コアラップ」という返答。
聞いたことがなかったのでパンフレットを見せてもらいました。
なに、購入時に1.62%(税込)の手数料がかかると。
なになに、年率1.4904~1.98186%(税込)程度の信託報酬が必要であると。
父さん・・・酸素欠乏症にかかって・・・?
出典: http://yabouv.seesaa.net/category/6837897-9.html
初心者が感じるヤバさ
まずなぜ購入時に手数料がかかる投信を選んだのか?
そして年率2%にも及ぶ驚きの信託報酬。
動揺を隠して「なんでこれにしたの」と聞くと「退職金を預けている銀行の行員さんに勧められたから」とのこと。
父さん・・・酸素欠(ry
今ならウェルスナビとかもあるし(これなら年率1.08%税込)、バランス型投資信託ならもっと安いのもあるはず・・・。それを軽く伝えると「でも分からないんだから仕方ないじゃないか」と、ほんの少し苛立ちを含んだ声での返事。
いけないいけない。私のような愚息を育ててくれて、謹厳実直に勤め上げた父の尊厳を傷つけるような言い方は避けねばなりません。とは言うものの、このままでいいんだろうか・・・。
念のためアセットアロケーションを見てみます。コアラップには安定型と成長型があるのですが、父は「そんなにもうけなくていいから」という理由で安定型を選んでいます。最新の情報はこちらです。
出典: http://www.smtb.jp/personal/saving/investment/fund/64311128.html
国内株式 | 10.6% |
先進国株式 | 8.7% |
新興国株式 | 1.0% |
国内リート | 6.0% |
海外リート等 | 3.0% |
コモディティ | 6.0% |
ヘッジファンド | 32.0% |
国内債券 | 26.6% |
先進国債券 | 5.7% |
新興国債券 | 0.4% |
安定型ということで債券が多いのかなと思っていたのですが、33%となっていますね。株式は20%です。まあ株を多くすると値動きが激しくなりますからね。しかし株の半分が日本株とは?かえって値動き大きくならないか?
で、この一番多い「オルタナティブ 47%」って何?っていうか「ヘッジファンド32.0%」とは?愚息の額に汗がにじみます。
販売資料によると・・・
まあ要するにアクティブファンドみたいなものですかね。ググってみると細かいことはいろいろ出てきますが、つまりは人の手を介することで市場平均を超えるリターンを出そうとすること(だから手数料も高い)、という風に思いました。
上に「ヤバさ」と書きましたが、納得しているならいいのか?でももっと安くて似たような値動きをするものはないのか?と思います。
軽く調べてみると
とりあえずすぐ思いつくのが「世界経済インデックスファンド(債券シフト型)」です。これは次のようなアセットアロケーションです(目論見書より)。
国内株式 | 2.5% |
先進国株式 | 15% |
新興国株式 | 7.5% |
国内債券 | 7.5% |
先進国債券 | 45% |
新興国債券 | 22.5% |
購入時手数料はSBI証券ならばゼロです(ネット証券ならどこもそうなのかも)。信託報酬は0.486%(税込)。そうそう、普通こういう水準でしょう、信託報酬。
それから適当に値動きの小さそうなものを探して「DCニッセイワールドセレクトファンド(債券重視型)」というものを見つけました。アセットアロケーションは次の通りです(目論見書より)。
国内株式 | 20% |
外国株式 | 10% |
国内債券 | 45% |
外国債券 | 20% |
短期金融資産 | 5% |
国内株式が妙に多いのが気になりますが。購入時手数料はゼロ、信託報酬は0.1944%(税込)です。安いのは正義です。
基準価額の推移を比べてみます。世界経済インデックスファンドが一番新しいので、それに合わせて2013/11/8からスタートです。
これを見ると圧倒的にコアラップのリターンは小さいです。ただ、確かにコアラップには「上がりにくいが下がりにくい」という特徴があるように感じます。
そこで2015/7/3(このあとどの投信も急落している)の価格をそろえてみますと、こうなります。
これを見ると世界経済インデックスファンドはずいぶん大きく落ちていますね。それに対してDCニッセイワールドセレクトファンドの方はあまり落ちていません。コアラップもあまり落ちていませんが、リターンの低さの割には下落も大きめです。
コアラップは確かに「下がりにくい」という特徴はあるようで、それはメリットと言えるのかもしれませんが、そのわりに上がりにくい。いま無造作に見つけてきたDCニッセイワールドセレクトファンドの方が若干下がりにくく上がりやすい。もっと探せばもっとマシな何かが見つかるかもしれません。
こういう状況で、コアラップのために1.5~2%の信託報酬を毎年払う価値があるかないか、というようなことを考えないといけません。
解約した方がいいと思うが
年齢的なことを考えると値動きはマイルドなものがよいのですが、1.5~2%もの信託報酬を払って、元本保証されるわけでもなく、中身もよく分からないヘッジファンドが3分の1を占めているようなコアラップは、とりあえず解約しておいた方がいいような気がするんですよね。昨年までにたまたまプラスの実績が出ているようなので(それは別の投信かもしれませんが)、とりあえず一旦手じまいしてほしいと考える愚息でした。
父と話していて「元本割れすることがない」と誤認しているっぽいところも気になりました。恐らく行員さんが「長い目で見ればだいたいプラスになりますよ」というようなことを言ったのを曲解しているというか、「頭では解っているが気持ちでは誤認している」というような状況なのかもしれません。また、そのような曲解を放置している行員さんに対しても正直なところ、不信感を私は持っています。
ただ、何かにつけて父はこの行員さんと相談をしているのか、何か付き合いでもあるのか、あまり強く言っても聞き入れないのではないかという気もしており、どうしたものかと思案投げ首の体です。
「行員に勧められるまま、退職金をいきなり訳の分からない投信につぎ込む」という話をよく見聞きしてきましたが、まさか自分の親がそれをしているとは思いませんでした。私が会社経営でもしていれば買う前に相談してもらえたのでしょうが、あいにくと「この親にしてこの子あり」でお金には疎い育ちをしてしまったので、父としてもこの息子に相談しようとは思わなかったのでしょう。親不孝です。
まあとりあえず、もう少しお勧めしやすい投資信託を調べてみるとします・・・。
なお、本記事は「ヤバイ」というタイトルをつけていますが、コアラップに投資することを何ら非難する意図はありません。私個人としては、信託報酬に比べてリターンが少ないこと、下落はマイルドだが特筆するほどでもなさそうなこと、最大の投資先がヘッジファンドというブラックボックスになっていること、などが気に入らないという感想を持ちました。確かにコアラップには「下落相場で下落しにくい」という特徴があるように思いましたが、仮にそれがヘッジファンドの力なのであれば、上昇相場ではもっと上昇すればいいのにそうなっていない。そういうものに高い報酬を払う必要性とは?などと思いました。